コロナ禍による 通勤スタイルの変化で 高まる自転車需要

誰一人置き去りにしないために

コロナ禍による 通勤スタイルの変化で 高まる自転車需要

新型コロナウイルス感染症の感染対策を取り入れながら日常生活を送るニューノーマル下で、移動時の密を避けられるとして、自転車の価値が改めて見直されている。通勤時の移動手段だけではなく、オンオフ問わず行動範囲が広がり、適度な運動で健康維持もできるなど、私たちの生活に変化をもたらす自転車。


成熟した市場の中、独自の哲学と顧客視点のものづくりで成長を続け、自転車を楽しむ文化づくりを目指す
株式会社あさひ(サイクルベースあさひ)代表取締役社長 下田佳史氏に、
ニューノーマル時代における新しい自転車の形を聞いた。

5月に新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が解除され、出社の頻度や休日に出かける機会も増えた一方、引き続き、感染対策を取り入れた日常生活を送っていることだろう。こうしたニューノーマルに向けて、政府が「新しい生活様式」を発表したが、その中でも推奨されており、改めて見直されているのが、「自転車を活用した移動」である。

 また、国土交通省は、企業活動における自転車通勤や業務利用を拡大するため、「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトを創設。それに呼応するように、自転車通勤の制度を整える企業も増えてきた。

 ニューノーマル下で自転車が注目を集める理由は、何と言っても人との距離を取ることができるため、電車やバスでの移動のような密を避けられること。また、自粛期間が明けたとはいえ、コロナ禍以前よりも外出の機会が減って、運動不足を心配している人も多いだろうが、自転車はこうした運動不足解消にも一役買う。なにより風を切って走る爽快感は自転車ならではのもの。気持ちがリフレッシュされて、通勤に取り入れれば、オンオフのメリハリもつき、仕事のパフォーマンスも向上するだろう。また、休日の外出時の移動を自転車に変えてみると、車や徒歩とは違った新しい景色を楽しめたり、目的地に到着した達成感も味わえたりする。

 取り入れるだけで、密を避けられるだけでなく、私たちの生活が心身共に健康になるといった良いことずくめの自転車。一方で、出社時に汗をかきたくない、坂などがあると疲れるといったデメリットもある。電動アシスト自転車という選択肢もあるが、どちらかというと、子育て世代やシニア世代の女性に向けたデザインが多く、通勤時のスーツにそぐわないという意見も多い。かといって、本格的なスポーツモデルは、カゴや泥よけがなく、通勤には使い勝手が悪い。

 こうしたデメリットをすべて払拭し、自転車利用をさらに拡大すべく誕生したのが、あさひのPB(プライベートブランド)『オフィスプレス』シリーズ初の電動アシストモデル『オフィスプレスe』である。

顧客第一主義だからこそ、
自ら自転車を製造し販売する

『オフィスプレス』とは、通勤仕様のスポーツタイプ自転車で、スポーツタイプの走りやすさとスーツに合うデザイン、カゴや泥よけという通勤に必要な装備などを備えている、あさひのオリジナル自転車ブランドの一つ。ただ、自転車好きや職場までの距離が近い人以外は、急坂や長距離を乗り越えて通勤するのはハードルが高いかもしれない。そこで、電動アシスト機能を備えた『オフィスプレスe』が開発された。

 そもそも、自転車の修理と小売りを行っていたあさひ。PBを立ち上げたのは1996年のことだ。ここから、小売・修理業に加えて、SPA(製造小売業)としての側面を持つことになる。今でこそ500店舗を視野に入れるが、当時は20店舗ほど。そんな状況でSPAとしてPBに参入した決断を、代表取締役社長の下田佳史氏はこう振り返る。

 「当時は画一的でカラーバリエーションも少ない、安価な輸入自転車が大型販売店で売られるといった状況でした。こうした状況に耐えられない自転車メーカーは廃業し、自転車の種類がさらに少なくなるといった負のスパイラルが発生していたのです。しかし、人とは違う自転車や自分が好きなカラーの自転車が欲しいというお客様の声があったのも事実。そこで、要望があるのなら自分たちで作ろうと決断しました」

 あさひは、いわゆる町の自転車屋からスタート。お客様との距離が近く、常に要望に応えてきた。そのDNAは、今でも「すべてはお客様のために」という言葉とともに、全社員へ刷り込まれている。「自転車を購入する楽しさや乗る楽しさを伝えることが使命だと思っています」と下田氏。PB製品も、その想いのもと、開発が進められるという。

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 あさひのPB製品は、「顧客が望む物を作る」といった、地道でまっとうな努力によって進化し続け、徐々に受け入れられてきた。『オフィスプレス』シリーズも、まさにその姿勢を具現化したようなPB製品である。

 『オフィスプレス』が初めて世に出たのは、2005年のこと。当時、通勤用自転車というカテゴリーは存在していなかった。自転車での通勤といえば、一般自転車、俗に言うママチャリで駅に向かい、そこから電車通勤がほとんどだったという。しかし、下田氏は現場から上がってきた声に注目した。

 「本格的に自転車通勤をしている人の多くは、スポーツ自転車を使っていたのですが、6万円前後と価格が高く、仕方なく一般自転車に乗っているという声も少なくありませんでした。そこで、一般自転車以上、スポーツ自転車未満の3万〜4万円程度の価格で、日常使いができてスポーティーにも走れる自転車があれば需要があるのではないか。そういった発想から生まれたのが『オフィスプレス』です」

 『オフィスプレス』は、年々進化を重ね、今年にはシリーズ初の電動アシスト自転車である『オフィスプレスe』が発売。電動アシスト自転車は、出社時に汗をかいていたくない、坂などがあると疲れるといったデメリットをカバーし、体力の有無や職場までの距離にかかわらず、自転車通勤を可能にしてくれる。

 下田氏は「質の良い自転車を製造しても、それを高い価格で売るのなら、PBである意味がありません。お求めやすい価格で、高い性能に加えて、顧客視点の細かい装備を提供できるからこそ、お客様に納得していただけるのです」と語る。

 あさひは創業以来、健康増進に役立ち、環境にも優しい自転車の魅力を伝え、生活に取り入れてもらうことで、人生に楽しみを与えるお手伝いをしたいと考えている。『オフィスプレスe』は、まさにその想いを後押しする一台だという。

新モデルはeバイクに匹敵する性能と
通勤に必要な装備を両立した
電動アシストモデル

『オフィスプレスe』のテーマは「新しい時代のスマートな通勤」。下田氏がイチオシする注目ポイントは、独自に開発した最新のドライブユニット「PLUS-D」だ。

 「従来の電動アシスト自転車はチェーンの動きをアシストしますが、『PLUS-D』はペダルの回転そのものをアシストするダイレクトドライブ式ユニット。想定ユーザーや利用シーンによって緻密な出力設計が可能です。『オフィスプレスe』の場合、『通勤快速設計』として、出足だけでなく、スピードが乗った後もしっかりとアシストが補助。伸びのある走りを実現してくれます」

 実際に筆者が試乗してみたところ、スピードが出た後でも加速感があり、爽快。長距離の通勤でも、スピードに乗って走ることができそうだ。また、外装8段変速と組み合わせると、急な上り坂でも足や身体に負担をかけずに登ることができた。

 スピードが出るということは、制動力の高さも求められる。そこで採用されたのが、油圧式ディスクブレーキ。軽い握力でも高い制動力を得ることができ、また、雨の日にも制動力が落ちないのが特徴で、毎日使う通勤にはうってつけのブレーキだ。

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 電動アシスト自転車で気になるバッテリーだが、1回の充電でエコモードなら約100km、標準モードで約65km、パワーモードで約54kmの走行が可能。通勤ならば十分な距離で、充電頻度も少なくて済む。「休日には、スポーツサイクルとして、ちょっと遠出のツーリングに出かけてほしいですね」と下田氏。その言葉から、通勤だけでなく、生活を楽しくする自転車として使ってほしいという想いがにじむ。

 パーツ類は、通勤用自転車を15年間作り続けてきたからこその、かゆいところに手が届く充実ぶりだ。標準装備のカゴは横広でビジネスバッグがすっぽり入る大きさ。また、チェーンにはズボンの裾を汚さないためにチェーンカバーが、タイヤにはドロ跳ねでスーツを汚さないようにフルカバーフェンダーが備わっている。滑りにくいペダルの採用も、革靴通勤にはありがたい配慮だ。ライトは高性能LEDで、暗さを検知して自動点灯・消灯を行ってくれる。万が一の時には、スイッチパネルにあるUSBポートから充電もできる念の入れようだ。通勤に必要な装備はすべてほぼ網羅しており、追加購入の必要がないのはありがたい。

 こだわったのは性能と装備だけではない。下田氏は、「スーツのフォーマルな雰囲気にも合う、スタイリッシュなデザインを見てください」と胸を張る。目指したのは、あさひ史上最も美しいデザインだ。ダウンチューブは一般的な丸パイプではなく、高級スポーツモデルに見られるエッジを利かせたデザイン。カゴも鋭角を活かした意匠で、フレームとパーツの統一感も意識された。カラーは高級感のあるホワイト、メタルグレー、ボルドーを採用。エッジ部分に当たった光が映えるように計算されている。

 また、「オフィスプレスe」は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、2020年度グッドデザイン賞を受賞。デザイン性と機能性を両立した「オフィスプレスe」なら納得である。

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