対面授業、世界で制約 4億人超がなお遠隔学習

誰一人置き去りにしないために

対面授業、世界で制約 4億人超がなお遠隔学習

15日、カナダ・オンタリオ州で新型コロナウイルスの流行以来初めて小学校に登校する児童たち=ロイター

15日、カナダ・オンタリオ州で新型コロナウイルスの流行以来初めて小学校に登校する児童たち=ロイター

新型コロナウイルスの影響で閉鎖した世界中の学校が新学年を本格的に迎えている。対面授業の全面再開に慎重な学校はなお多い。8~10月に新学年となる児童・生徒のうち4億人超が遠隔で学ぶ見通しで、通信環境などが整わず教育機会の格差が広がる恐れがある。学校閉鎖が続く国もあり、支援強化を求める声が高まっている。

公立学校に児童生徒110万人が在籍し、全米最大規模の学区を抱えるニューヨーク市は、21日に予定していた対面授業の再開を延期した。延期は2回目で、教職員を十分に確保できなかったためだ。これまでも教職員組合は感染防止への懸念から早期再開に反対していた。

同市は遠隔授業を始める一方、対面授業は10月1日までに学年によって段階的に再開するとした。米国の大都市では学校再開の判断が州や地域ごとに異なるものの、首都ワシントンDCを含め遠隔での新学年・学期の開始が大半だ。

国連教育科学文化機関(ユネスコ)によると、幼稚園から高校までの全世界の児童・生徒約15億人のうち、約9億人が8~10月に新学年を迎える。このうち登校を再開し対面で授業を受けるのは155カ国の4億3300万人。残る4億6700万人はオンラインによる完全な遠隔授業か、対面との併用になる見込みだ。

遠隔授業では経済事情からパソコンなど端末を用意できず、通信環境も整わない家庭もあり、参加できない子どもが生じる。指導に不慣れな教員も多く、対面再開に踏み出した国・地域との教育格差が広がる恐れがある。遠隔では人間関係づくりに支障が出かねず、大勢で一斉に議論して考えをまとめるといった授業も難しい。実験や体育が実施できず、技能習得が遅れる可能性もある。

欧州では9月までに、対面授業をほぼ再開した。ただ感染の再拡大を受けて店の営業時間制限など規制を強化する動きもあり、学校現場では感染対策の模索が続く。

英国は全学校に検査キットを配備し、感染者の早期発見につなげるほか、クラスを少人数に分け、互いに距離を保つ。スペインは原則として対人距離を1.5メートル確保することや1日5回の手洗い、教室を頻繁に換気するといった対策を取ることで中央政府と各自治州が合意した。デンマークも教室の机を2メートル離し、少なくとも1時間半ごとの手洗いを指導する。

日本は3月に一斉に休校が始まり、地域ごとに解除が進んだ。当初は分散登校が多かったが、7月には全面再開した。ただ身体接触を伴う運動の中止や教室内の消毒徹底は続ける学校が大半だ。

集団行動をする学校はクラスター(感染者集団)の発生リスクから逃れられない。

フランスでは9月の新年度開始以降、教員や子どもの感染で既に約20校が閉鎖された。米紙ワシントン・ポストなどによると、9月に授業を再開したベルギーでは、南東部の町の学校で生徒ら30人以上の感染が確認された。体調に異変を感じた教師が検査したところ陽性となり、その後数日間で校内での感染拡大が判明したという。

ユネスコによると、10億人の子どもが学校閉鎖や、安定的に授業を受けられない状況に置かれている。学校が閉鎖された地域はアフリカや中東、南米が中心だ。

ユネスコは2~3月の世界的な都市封鎖(ロックダウン)以降、全国的な学校閉鎖をしたのは最多で193カ国に及び、平均60日分の学習機会が失われたと分析する。

閉鎖が続くと若者の知識習得が遅れ、国の技術革新や経済活動の停滞を招く可能性がある。学校は給食による栄養状態の改善や、児童労働、虐待の防止など福祉的な機能も担っており、閉鎖は学習以外にも影響する。

ユネスコのアズレ事務局長は「複数の世代が脅威に直面している。危機は依然深刻だ」と指摘。各国政府や世界銀行、国連児童基金(ユニセフ)などと連携し、学校再開を後押しする国際的な枠組みをつくるよう訴えている。

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